こんにちは!
せぼね大好き整形外科医のドクターコンちゃんです!
今回は、スマホが首に悪いのかどうか、
科学的に検証した論文を見つけたので、ご紹介いたします!
VDT症候群について
皆さん、首コリ、肩コリ、ありませんか?!
パソコンで仕事したり、
スマホを長時間いじっていると、
首痛くなりませんか?!
かくいうボクもこうやってパソコンに向かっていると、
首から肩にかけてコリ、痛みを感じて、
しょっちゅう首を回したり肩甲骨を動かしたりしております。
この新型コロナ禍の中、
リモートワークでパソコンなどのデスクワーク主体になる人が増え、
ボクの外来にも、そのせいで頚部痛患者さんは増えた印象です。
昔からパソコン作業を原因とする疾患と言えば、
VDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)と呼ばれる一連の症状を発症するものが有名ですね。
「目、首、肩に来たら、コレ!!」なんていう、
まさにどこかの健康食品かビタミン剤の謳い文句にありそうな部位の症状です。
首、肩に関しては、
整形外科領域では頚肩腕症候群なんていう言われ方もします。
ボクの外来に来られる首、肩の痛みを訴えられる患者さんの大部分が、
デスクワークをされている印象です。
ちなみに、レントゲンを撮ると、
結構多くの方が頚椎症っていう状態になっていますけどねっ。
(頚椎症についての説明はこちら動画もご参照ください ⇓)
スマホ首について
スマホの普及率
さて近年、スマホの急速普及にて、
ほとんどの人がスマホを持つようになってますね。
総務省によると、2019年の調査で、主な情報通信機器の世帯あたりの保有率は、
「スマートフォン」は83.4%、「パソコン」は69.1%、「固定電話」は69.0%と、
パソコンや固有電話をとっくに追い抜いております。
モバイル端末の個人あたりの保有率は、
「スマートフォン」の保有者の割合が67.6%、「携帯電話・PHS」(24.1%)と、
大部分の人が小さなパソコンとも言えるスマホを持ち歩いて、
暇があったら眺めてるような状況ですねっ1)。
スマホ首の患者さん
先日も外来に、首肩の痛みという、
いかにもデスクワークっぽい症状の若い女性が来られ、こんなやり取りがありました。
お仕事はデスクワークですか?
いえ、無職です。
(あれ~?)
もしかして、スマホ良く見ます?
よく見ます。(テヘっ)
もしかしたら最近はスマホによる症状の方が多いのでは?!
仕事でパソコン、プライベートのスマホと合わせ技で、
首に対して常に大リーガー養成ギプス並みのシゴキを与えることになり、
それこそスマホだけにギガレベルの頚部痛で、
金縛りみたいに身動き取れなくなるのではっ?!
スマホ首に関する最新論文
さて、そんな折、
脊椎外科では有名な医療雑誌にこんな論文が出てました。
成人におけるスマホ首と頚部痛の関係
(Association Between Text Neck and Neck Pain in Adults)2)
海外では、以前からスマホを見るためにやや下を向く首にとって有害な姿勢を、
Text Neckと表現してるんですね~。
日本ではそれにあたる言葉はスマホ首ですかね
(首の痛みなどの症状も混同してスマホ首と呼ばれているようですが)
さて、以前からText Neckは首に悪いと言われているにも関わらず、
Text Neckと首の痛みの間に統計学的な関係は見出されていません。
すなわち、科学的に証明できていないので、
「スマホ見すぎると、なんか首に悪い気がする~」
程度の話だったんですね。
というわけで、この論文の著者は、
「よっしゃ!オレ達がスマホは首に悪いって証明してやる!」
って意気込んで研究したようです。
さて、この研究では、582人もの人を対象に、
CROM deviceという、頭にダイヤルみたいなものがついた、物々しい器具を取り付けて、
スマホを見る時の、頭が傾く角度もしっかり調べ、いろんな項目で調査しております。
さあ、つ、ついに!
スマホの、首に対する悪事が暴かれるのかっ?!
細かいことは端折って、結論。
スマホ首と首の痛みに関係なし。
???????!!!!!
関係ないんか~~~~~~~い!!!
まあ、こういうことは臨床研究ではよくある結果です。
論文著者の心中察するに余りあります。
ただし、この研究の結果を踏まえて、
安心してスマホ使い放題だぜ~、イェ~~イ!ということにはならなくて、
結局パソコンにせよスマホにせよ、
同じ首の姿勢を続けることが良くないんじゃないかとは思いますね。
この論文でも、スマホ使い過ぎによる活動性低下や、
質の悪い睡眠(スマホで睡眠障害が出るという意見もありますし)が
頚部痛に関係しているのではないかと指摘されておりますしね。
皆さん!いますぐスマホを置いて、運動しましょう!!!
と、いうわけで、
パソコンやスマホでこの長文を最後まで読んでいただいて
ギガありがとうございました!!!
参考文献
1)総務省ホームページ(令和2年 情報通信白書より)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252110.html
2)Correia IMT, et al. Association Between Text Neck and Neck Pain in Adults. Spine (Phila Pa 1976) 2021;46(9):571-578
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