こんにちは!
ドクターコンちゃんです!
今回もドクターX 外科医・大門未知子 第9話 (2021/12/9放送) について
勝手にまとめました!
(ネタバレありますのでご了承をm(__)m)
あらすじ
簡単なあらすじです。
メディカルソリューション本部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)は
大門未知子(米倉涼子)を誘って
行きつけの鮨屋「十兵衛」を訪れます。
その際に蜂須賀は背中の強い痛みを覚えます。
蜂須賀は院長代理の蛭間重勝(西田敏行)から権力を取り上げるため、
アメリカの病院長と結託し
役員の任期を1年にすると決定します。
蛭間はこれに対抗すべくロビー活動を始めます。
蛭間の妻・蛭間華子(藤真利子)が体調不良を訴え来院するも
気のせいだとまともに取り合いません。
華子の不調に気づいた未知子が検査を行ったところ
重度のすい臓がんが見つかります。
華子の治療方針がカンファレンスにかけられ
誰もがオペ適応外で内科的治療適応と考える中、
未知子は自分ならオペできると言います。
これまで内科でのケミカルサージェリーを推奨していた蜂須賀ですが
なぜか未知子が華子のオペを行うことを認めます。
華子のオペは予想外に左胃動脈に癌が浸潤しており
動脈性出血にて難航します。
あわやオぺ中止かと思われましたが
いつもと違い、蜂須賀がオペ続行を促し
最終的にオペは成功します。
実は蜂須賀自身が重度のすい臓がんに侵されており
ケミカルサージェリーである 強力集束超音波治療法HIFU(ハイフ)治療
を受けるも効果なく、
自分のオペに希望を見出すためにも
未知子のオペを成功させてほしかったのです。
蜂須賀は未知子に、
「自分が病気になって初めて分かりました。
その膵臓の影をメスで取り除けるものならと
一縷の望みをかけてしまう・・・」
と心境を打ち明け、
できれば未知子に切ってほしいと頼みます。
未知子はこの困難なオペに対処するため
徹夜で文献検索などをして準備します。
そんな中、
蜂須賀によって新設が進められてきた感染研究センターに
海外の医師が視察に訪れます。
その後、なんとその医師が
新しく流行が始まった
新型ウイルスに感染していたことが発覚し、
蜂須賀が病院アナウンスで緊急事態宣言を行います・・・。
強力集束超音波治療法HIFU(ハイフ)治療って?
これまで、このドラマ中でケミカルサージェリーと言えば
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)ばかりでしたので
突然違う治療法が出てきて面喰らいました(^^;)
今回、蜂須賀が自身のすい臓がんに対して受けていた
強力集束超音波治療法HIFU(ハイフ:High intensity focused ultrasound )治療ですが
実際にオペ適応外のすい臓がんに対して
行っている病院もあります。
放射線を用いず、超音波で行うので
体へのダメージが少なく済みます。
ただ、これだけでしっかり治せるというものでもなく
化学療法と組み合わせて行うようです。
日本では現在、
前立腺肥大、子宮筋腫、骨転移の疼痛緩和、本態性振戦といった適応に対して
保険診療で行われていますが、
すい臓がんは保険適応外なため自費診療です。
保険適応が無く、自費診療ということは
まだ臨床研究段階であり
効果のほども完全には確立されていないのでしょう。
それでも未だにオペで治せないすい臓がんが多いため、
こういった新しい治療が試されているのですね。
蜂須賀も自分のすい臓がんが
オペ困難であることを自覚しており
病気を熟知しているからこその絶望を感じながらも
HIFU治療に望みを託したのだと思われます。
自分が病気になって初めて分かる、患者の気持ち
蜂須賀は100%のオペなどあり得ないと考え、
ケミカルサージェリーを推し進める理念を持っていました。
(本来なら二つは対立せず、補い合うものですが(^^;))
しかし自分の病気が、通常ならオペ適応とならない状態で、
ケミカルサージェリーも効果がないと分かり
打つ手がなくなった時に
藁をもすがる思いで
未知子のオペに望みを託します。
「自分が病気になって初めて分かりました。」
という言葉は、医者として胸に刺さるものがあります。
治療方針に対する医者の信念とか
データがどうとかは
患者さん側からしたら大きな問題ではなく、
治る可能性という希望を与えてくれる
信頼できる医者の言葉が重要なのだと思いました。
「私、失敗しないので」
は、すべての患者さんが欲する言葉だと思います。
そしてほとんどの外科医が
怖くて言うことができないけど
そう言えたらいいなと
望む言葉でもあります。
「私、失敗しないので」って言ってもいいのだろうか?
ちなみに、患者さんが医者を信頼することは
プラセボ効果を最大限引き出します。
プラセボ効果とは、
実際には効き目が無い薬や治療法でも
効くと信じていると症状が良くなるという
科学的に立証された事実です。
がん治療だと、〇年生存率という
数字で明らかに分かる結果があるので
プラセボ効果だけに期待はできませんが、
ボクら整形外科医が扱う、
痛みなどの自覚症状に関しては
明らかにプラセボ効果も大事です。
じゃあ、信頼してもらって
プラセボ効果を引き出すために
「私、失敗しないので」
って言ってもいいかというと
ボクはそうは思いません。
蜂須賀の言うように
100%トラブルのないオペなどあり得ません。
まあ、ベテランになると
技術的な失敗はしないかもしれませんが
不可避な合併症であったとしても、結果が悪ければ
失敗だと捉えられてしまう可能性もあります。
合併症を完全には防ぐことができない以上、
100%うまくいくという幻想を与えてしまうような発言は
やはり不誠実かと。
あと実際に、
100%失敗しない人間など存在しないので
失敗しないと言い切るのはウソになります。
では現実的なキメ台詞として、
私、ほとんど失敗しないので。
と言うのはどうでしょう?
「じゃあ、たまに失敗するんじゃん!」
って逆に心配になりますかね(^^;)
結果、
技術的には、ほぼ失敗はありませんが、
合併症が起きた場合は
最大限の対応をします。
という当たり障りのない発言になるかと。
全然、ドラマのキメ台詞になりませんね(^^;)
だからドラマはドラマであって
セリフですら現実ではあり得ないから
面白いんですよね。
医者として
言えないけれど
言われたい
私、失敗
しないので
短歌調にととのった(?)ところで
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!
コメント