宇宙飛行は腰椎椎間板ヘルニアのリスクを上げる!?

せぼねの話

こんにちは!
死ぬ前に一度は宇宙に行ってみたいドクターコンちゃんです!

ZOZOタウンの前澤友作さんが宇宙旅行から帰ってきた記憶もまだ新しいですが、
さすがNASAを擁するアメリカらしい論文がありました。

Biomechanical changes in the lumbar spine following spaceflight and factors associated with postspaceflight disc herniation
(宇宙飛行による腰椎の生体力学的変化と宇宙飛行後の椎間板ヘルニアに関する因子)
JF Bailey et al. Spine J. 2022 Feb;22(2):197-206

簡単に要約を書きます。

・この研究では、2011年から2018年の期間で、宇宙に約6か月間滞在したNASAの宇宙飛行士12人が対象となりました。(内訳は平均年齢51.3歳、女性2人、男性10人。宇宙滞在期間は138日~289日で平均168日間)

・対象者は、①打ち上げ前の1年以内、②地球帰還後1週間以内、③帰還後1~2か月以内 の3回のタイミングで症状や腰椎MRI検査などのチェックを受けました。

・地球帰還後12人中6人に、症状を呈する腰椎椎間板ヘルニアを認めました。

・腰椎椎間板ヘルニアに関連して、下位腰椎の多裂筋(腰椎を支える主な筋肉)の質の低下(脂肪成分が増える)を認めました。

・腰椎椎間板ヘルニアに関連して、上位腰椎の動く角度(ROM)の低下を認めました。

宇宙では重力が非常に弱いため、地球上のように筋肉で体重を支える必要が無いので、筋力が明らかに衰えます。

以前は宇宙飛行士が地球に帰還すると、筋力低下でフラフラになり歩けなくなるため、
現在では宇宙でも筋力トレーニングをすることが義務付けられていることは良く知られています。

また以前から、宇宙飛行後の腰痛や椎間板ヘルニア発症については報告がありました。

しかし、体幹筋力低下が椎間板ヘルニア発症のリスクになるかどうかは、まだよく分かっていません。

この論文の著者は、地球帰還後の宇宙飛行士に見られたように
上位腰椎の動きの悪さが下位腰椎にかかる負担を増やし
下位腰椎の筋肉の質の低下が不安定性を生み
椎間板ヘルニア発症リスクとなるのでは、
と述べています。

単に腰椎の動きの悪さや筋力の低下が
腰椎椎間板ヘルニアと同時に観察されただけかもしれないので
両者に因果関係があるかどうかはまだ分かりません。

正しい医療者の姿としては、この論文をもって
椎間板ヘルニアの予防のために体幹筋力を鍛えよう!
と安直に言ってはいけません(^^;)

ただ近年の研究で、
体幹筋力の低下と腰痛については関係がありそうとは言われています。

というわけで腰痛予防にはやっぱり運動は大事だよと。

皆さんも来る宇宙旅行の日に備えて
体幹筋力を鍛えておきましょう!
(その前に宇宙旅行費用を準備するために起業しなきゃですね(/ω\))

最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

<参考文献>
Biomechanical changes in the lumbar spine following spaceflight and factors associated with postspaceflight disc herniation
JF Bailey et al. Spine J. 2022 Feb;22(2):197-206

コメント

タイトルとURLをコピーしました