こんにちは!
なかなか洒落の効いた記事タイトルに
勝手にご満悦のドクターコンちゃんです!
さて、ドクターX 外科医・大門未知子 第3話 (2021/10/28放送)を
またまた勝手にまとめます!
(ネタバレありますのでご了承をm(__)m)
あらすじ
簡単なあらすじです。
「東帝大学病院」の広報室長である三国蝶子(杉田かおる)と、
厚生労働事務次官の神部八尋(宮川一朗太)が
一緒にレストランから出る所を週刊誌に撮られ、
“科研費をめぐる接待疑惑”と報じられます。
記者に問い詰められた三国蝶子が倒れ、
検査の結果、
たこつぼ心筋症と診断されます。
たこつぼ心筋症の発症リスクとして
精神的や肉体的ストレスが知られています。
当初、激務による仕事ストレスが問題かと思われましたが、
実は三国蝶子と神部八尋は不倫関係にあり、
それが精神的(心的)ストレスとなっていたのでした。
三国の担当医である内科副部長・鍬形忠(小籔千豊)は
三国のストレスを軽減しようと、
神部に対し、三国の疾患について説明し
「ケジメをつけろ」と詰め寄ります。
すると神部は、
「三国と結婚する」とTVで宣言します。
それを聞いた三国は
興奮した様子で喜びの表情を浮かべますが、
突如心臓の状態が悪化。
三国は心タンポナーデ、心破裂を起こしており
大門未知子によって緊急手術が行われます・・・
たこつぼ心筋症とは
正直、久しぶりに聞きましたわ、
この疾患名(^^;)
心筋症とは心臓の壁の動きが悪くなる病気ですが、
たこつぼ心筋症は、
心筋症の中でも稀な特殊なタイプで、
心臓カテーテル検査で
心臓の形がたこつぼのように見えるため
こう呼ばれるようになりました。
名前の由来が示す通り、
日本で初めて報告されたそうです。
急な胸痛で発症するため
心筋梗塞が疑われることも多く
心臓カテーテル検査などで
心筋梗塞や他の心疾患が否定され
たこつぼ心筋症と診断されます。
前述のように、
心的ストレスが
発症のきっかけになることが多いそうですが、
まだはっきりとしたメカニズムが分かっていないようです。
治療としては内科的治療が主で、
ドラマ中で使われた
βブロッカーも使われることがあります。
(ただ発症メカニズムが不明なため
βブロッカーが必ず効くとも限らないようですが・・・)
ただし通常、予後は良好な疾患です。
たこつぼ心筋症と心破裂
たこつぼ心筋症は
基本的に予後良好ですが、
合併症として稀に
心破裂が起こることがあるようです。
実際、調べると、
たこつぼ心筋症に合併した心破裂で
急死したという症例の文献がチラホラあります。
正直、ドラマを見ていて、
心破裂でオペして助かるもんなのか?
と疑問を感じました。
しかし文献の中には、
ドラマさながらに
心破裂の合併に対し、
オペで救命できたという報告も少しだけありました。1),2)
(やっぱりドクターXは文献的裏付け取ってますな(>_<))
この論文の中にもありましたが、
やはりオペで救命できることは
非常に稀なようです。
内科副部長の対応は間違っていたのか?
結論から言えば、
間違ってましたよね(^^;)
さて、この内科副部長は
不倫の心的ストレスが発症の原因だとして
その原因を取り除くために
不倫相手に何とかしろと詰め寄ります。
患者さんの疾患を治すために
疾患だけではなく
患者さんの周囲の環境を含めて治療に当たる
全人的医療という
近年流行りの風潮にマッチしており
患者を思えばこその行動だ、
と取れなくもありません。
しかし、如何せん、
やり方がまずい。
ドラマの中では、
幸福感という激しい心的ストレスも
発症原因となると
大門未知子が説明しています。
でも問題点は
そういう結果を予測できなかったコトではなくて、
患者のプライベートに
ずかずか入って行って干渉する点です。
現実的には
ちょっとナニ言ってるか分からない
レベルのスタンドプレーですね(^^;)
たこつぼ心筋症患者さんの
ストレスを減らしてあげるのは
治療上大切です。
でも通常は
大きな心的ストレスを抱えた人に対しては
大きな波風を立てないように
まずはマイルドに、
精神科的、
心理療法的アプローチを図るべきかと。
実際にそういった治療の必要性に関して
言及している人もいるようです。
この内科副部長の行動は
明らかに独善的で
他人の心の問題をまるで理解できていない、
コミュニケーションに難のある人ですね(^^;)
(まあ、そういうキャラが多く登場するドラマですが)
結局、不倫は心(heart)にも心臓(heart)にも悪いというオチですかね?
今回は
心的ストレスを起因として
身体にも害を及ぼす疾患という
外科医からすると
アタマを悩ませるケースでしたね。
経験からして
外科医は切った張ったの世界に生きてるので
精神的側面のケアは
苦手とする人も多いかと。
そういう意味では
大門未知子もコミュニケーション面には
いつも問題があって、
相手にストレスを与えるプロですから
今回の患者さんの心理的ケアは無理だったでしょう(^^;)
(そういえば、そのせいか今回、
いつもの患者に対する
独善的な口調があまりなかったような・・・)
ではこの不倫による心的ストレスに、
どう対処すれば良かったのか。
だって、
不倫相手が自分と結婚すると言っても、
逆に別れてくれと言われても、
どの道、
ストレスで疾患が悪化したんでしょう?
結論から言えば、
外科医にも内科医にも手出し無用ですな。
精神科医と
心理療法士さんと
弁護士さんなどに
お任せかと。
そもそも不倫って
始める時は
恋心とか背徳感とかから
ドキドキして楽しいでしょうケド、
すぐに泥沼化してストレスの温床となる、
最適解の無い関係性ですよね。
(ボクは個人的には知りませんけど)
つまり、
不倫を始める時点で、
心(heart)の健康問題と、
ヘタすりゃ
たこつぼ心筋症という
心臓(heart)の健康問題の
いずれも引き起こす可能性ありなワケですね。
ダブル・ハート問題の
人生ハードモード突入ってワケですよね。
アタマで分かってても
ココロはどうしようもなくなるのが
恋愛なんだよ・・・!
もう、この独善者!
・・・(シッシッと手で払いながら)
ボク自身としては
万が一そんなアヤシイ関係になりそうな時は、
医者として、
相手のheartの健康被害を予防するべく
心を鬼にして突っぱねばなるまい、
と決心する次第です。
そう、イチ医者として。
(別に不倫することを想定してるワケじゃないすよ(^^;))
なんか変な結論にたどり着いてしまいましたが
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!
<参考文献>
1)左室内圧較差が心破裂の原因と考えられたたこつぼ心筋症の1症例
大島 清孝ら. 心臓46巻11号 Page1476-1482(2014.11)
2)たこつぼ心筋症に合併した心破裂の1例
磯貝 俊明ら. 心臓44巻2号 Page196-201(2012.02)
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